医療ドラマは、毎年いくつも放送しているので、人気ジャンルの1つなのでしょうね。私も『白い巨塔』の財前五郎に憧れて外科医を目指したクチですから、面白そうな医療ドラマがあればときどきみていました。ただ、いざ医師になってみると、時間的な制約があってなかなか視聴できないのと、視聴しはじめても粗が目についてしまってなかなか物語に入り込めないのですね。視聴者へのわかりやすさや、物語の展開上致し方ない演出は目を瞑るとしても、「本当に医療監修入ってるんですか」と疑うようなこともしばしばです。
さて、今回始まったドラマ、フラジャイルはどうでしょうね。以下、ネタバレ注意です。
第1話をみましたが、普段なかなかスポットが当たらない病理医の視点から、現代医療の抱える様々な問題点に切り込んでいくドラマのようです。極めて大雑把にいうと、「自分の言うことは絶対」という超自信家の病理医が、テキトーな診療をしている臨床医を叩きのめすというストーリーです。異端児・変人として蔑まされている病理医が、いかにも悪そうな顔で、権力にヘコヘコして、正しいことができない医者を、エビデンスを武器に懲らしめる展開は、痛快でドラマとしては視聴者ウケが良さそうです。
ただ、自分の正しさを証明するために、自分の手は決して汚さず、研修医をそそのかして犯罪に手を染めさせることも厭わない姿勢には疑問が残ります。具体的には、意識消失発作を起こした若い女性の頭蓋内病変を検索するため、上級医の机を破壊し電子カルテのIDとPASSを盗ませ、不正アクセスにより上級医のオーダーした腰部MRIのオーダーを頭部MRIに書き換えるというものです。
私の感じた違和感は、①若い女性の意識消失発作=ウィルス動脈輪閉塞症と断定している、②MRI検査自体にそこまでの緊急性はなく、ましてやわざわざ器物損壊、窃盗、不正アクセスなどの犯罪を犯さなくても、通常MRI室に電話1本入れればオーダーの修正は可能です。そもそも、直前のオーダー変更であれば何れにしてもMRI室に電話を入れる必要があります。ドラマとしては面白いかも知れませんが、本来必要がないのに研修医に犯罪行為をさせて、それを美談としている点は医療人として看過できません。とても問題のあるドラマだと思います。
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さて、今回始まったドラマ、フラジャイルはどうでしょうね。以下、ネタバレ注意です。
第1話をみましたが、普段なかなかスポットが当たらない病理医の視点から、現代医療の抱える様々な問題点に切り込んでいくドラマのようです。極めて大雑把にいうと、「自分の言うことは絶対」という超自信家の病理医が、テキトーな診療をしている臨床医を叩きのめすというストーリーです。異端児・変人として蔑まされている病理医が、いかにも悪そうな顔で、権力にヘコヘコして、正しいことができない医者を、エビデンスを武器に懲らしめる展開は、痛快でドラマとしては視聴者ウケが良さそうです。
ただ、自分の正しさを証明するために、自分の手は決して汚さず、研修医をそそのかして犯罪に手を染めさせることも厭わない姿勢には疑問が残ります。具体的には、意識消失発作を起こした若い女性の頭蓋内病変を検索するため、上級医の机を破壊し電子カルテのIDとPASSを盗ませ、不正アクセスにより上級医のオーダーした腰部MRIのオーダーを頭部MRIに書き換えるというものです。
私の感じた違和感は、①若い女性の意識消失発作=ウィルス動脈輪閉塞症と断定している、②MRI検査自体にそこまでの緊急性はなく、ましてやわざわざ器物損壊、窃盗、不正アクセスなどの犯罪を犯さなくても、通常MRI室に電話1本入れればオーダーの修正は可能です。そもそも、直前のオーダー変更であれば何れにしてもMRI室に電話を入れる必要があります。ドラマとしては面白いかも知れませんが、本来必要がないのに研修医に犯罪行為をさせて、それを美談としている点は医療人として看過できません。とても問題のあるドラマだと思います。

