Quantcast
Channel: 東京中央美容外科【TCB仙台院】 院長 安本 匠 美容外科の匠
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1304

医学部医学科、入試差別問題/医師の視点からの感想

$
0
0

入試差別で全国調査=国公私立81大に-文科省
 東京医科大の不正入試問題を受け、文部科学省は10日、医学部医学科を置く全国の国公私立大81校を対..........≪続きを読む≫

 
某医大の裏口入学や入試差別?問題を受けて、全国の国公私立大学の入試に関して調査するそうですね。
 
贈収賄に関わる裏口入学は犯罪ですから、問題外・言語道断として、その他の裏口入学や入試差別?に関してはここまで騒がれているのは少し違和感を覚えます。なぜなら、本来、どのような学生を入学させるかは大学の裁量に任されており、大学の自由だからです。特に、医学部医学科は将来医師を目指す学生を募集する学科であって、医師としての適正、学習意欲などに応じて、学力検査の結果だけでなく、面接や小論文、調査書などの結果を踏まえて、「総合的な判断」で合否を判定すると募集要項に明記されているのが普通です。私立大学のみならず国公立大学でも「総合的な判断」の名の下に、合否判定を出すことは今に始まったことではありませんし、周知の事実なので、ちょっと今更感がありますよね。
 
例えば、学力検査の点数に関わらず、大学が欲しい学生なら面接点を満点にしたり、逆に欲しくない学生の面接点を著しく下げることで、受験者の属性によって差をつけるというような運用がありえます。私が医学部を受験した頃から、入学試験結果の情報公開が一般的になり、学力検査や面接の点数が公開されるようになりました。その結果、国公立大学でも年齢差別?がされていることが明らかになり不合格者が訴訟を起こしたこともありましたよね。明らかになってない事例を含めれば、相当数そのような事例があることは想像に難くありません。同級生でも面接点が満点の人もいれば、非常に低い点数の人もいました。それが純粋に面接の評価なのか何らかの選別が働いたのかは知る由がありません。
 
大学ごとに合格者の属性には特色があることは以前から指摘されており、それこそ「学生の男女比に大きな差がある」、「現役生が有利」、「2浪までなら・・」というような話は、受験生や高校・予備校関係者などの間では定説として語られており、受験校選びの指標にもなっています。これらは、面接の点数などで恣意的に調整することが可能ですが、あまり極端に行うと問題になりますから、推薦入試の実施、地域枠の設定、奨学金の貸与、受験科目や傾斜配点の設定などで試験自体を欲しい属性に合わせる場合もあります。「地域に残る医師を確保したい」「外科系・産科の医師を確保したい」「国家試験の合格率を上げたい」「留年率を下げたい」など、医師を育てる特殊性や、社会(自治体)からの要請、個々の大学の事情によってある程度の選別が働くのは致し方ないことなのかもしれません。私立大学に至っては、経営状況によっては大学の存続に関わるわけですから、寄付金や親の属性が合否に影響しても不思議はありません。裏でこそこそやるから「裏口入学」と叩かれるのであって、場合によってはアメリカの様に初めから寄付金による入学枠を設ければ良いでしょう。
 
私としては、大学は学問を学ぶ場であって、年齢や性別、経済力で差別されることはあってはならないことと考えています。少なくとも国公立大学では。しかし、社会的要請、個々の大学の事情などを考慮して、ある程度選別せざるを得ないのであれば、募集要項に明記するのがフェアだと思います。実際、防衛医科大学校、自治医科大学、産業医科大学などは募集要項に従って欲しい学生を堂々と選別しています。これを入試差別とは言わないですよね。
 
受験生側としては、残念ながら現状では選別が行われることは事実として受け入れ、対応していくしかないと思います。自分に有利な大学を受験する、多少の選別をされても逆転されないくらいの圧倒的な学力を身につけるというのが、現実的な対応かと思います。
 

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1304

Trending Articles